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企業は人なり、人は心なり

企業は人なり、人は心なり。心とは、愛なり。

かつて渡り歩いた業界で様々な企業研修を経験してきたが、「愛」を語れる

ビジネスパーソンや講師は貴重だ。

特別天然記念物保護法で指定したいほど、絶滅の危機に瀕していると思う。

昔職場の上司に、「君たちと僕とはお金でつながっているだけだ。」と言われ

たことがある。金の切れ目が縁の切れ目だと信じているようだった。

私はそんなことは無いと反論した。私は仕事に恋をしていたし、職場の皆を

愛していた。けれどその時は変な照れがあって、それを上司に伝えることが

できなかった。

ただ、「もし辞めてもずっと付き合いは続いていきますよ。」とだけ言った。

本当に職場の皆が仲良かったからだ。仕事が終わって食事や飲み会もよく

行われ、若い同僚同士でコンパに参加したり、休日も朝から買い物や遊び

に出かけたり旅行したりするほどだった。

仕事は忙しくハードだったが、顧客からの厳しい要求やクレームにも共に向き

合い、仕事の悩みを共有した。

時には恋愛相談などもあり、人生の喜びや悲しみを分かちあったりもした。

先輩も後輩もなく仲良が良く、結婚やその他の理由で退職された社員も時々、

職場に顔を出して遊びに来てくれた。

だからそれがずっと続いていくと信じていた。ところが間もなく会社は経営の

危機に直面していることを知り、他社との経営統合の名の下に吸収合併を

進めることを知った。

幸いにも従業員の直接的なリストラは行われず、合併後の会社に全員雇用

されることになったが、新会社に統合される前に数名の社員が去り、

私を含め貰われっ子の社員はその後容赦ない遠隔地への転勤や、勤務条件

の変更が相次ぎふるいにかけられた。私は色々考えた末に、キャリア転身を

図ることにした。そして半年後に退職した。

退職時には勿論お世話になった上司や皆に挨拶をし、またいつでもそこに

会いに来られるような気持ちで去ったが、その後上司もその職場を去り連絡

は取れなくなってしまった。

上司から聞いたあの言葉は、会社が経営危機にあり、皆が離れ離れになる

のを予感した寂しさから出た言葉だったのだと後で知った。

あの時、上司の気持ちを汲み取り、仕事や仲間を想う気持ちを素直に言葉に

できていたら良かったのにと今でも思う。

共に苦労を分かち合った上司も、仕事や仲間を愛していない筈が無かった。

後に縁あってある企業の研修に参加した際トップが、顧客をもてなす際の心を、

「愛するように」と語る場に出逢った。

研修の講師も接遇を「愛(いつく)しむように」と教えていた。

在職期間が長かろうと短かろうと、仕事や職場や顧客との付き合いは出逢いで

ありその瞬間も人生なのだと思う。

支えてくれる人達に、愛する想いを伝えられるような生き方をしたい。

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